結婚準備が始まった その1
熱でゼェゼェ言っている私を残して、3人はQの実家へ向かいましたの。(私抜き)
どうも、私の頭上でどんどん事が運ばれていくようですわ。
・・・・結婚ってこんなものなんですの?(違います)
それから何時間たったのかわかりませんが、再び枕元に帰って来た父は言いました。
「挨拶は済ませた。向こうは非常に乗り氣だったよ。どんどん結婚の準備を進めなさい。」
準備って・・・・何も考えられないんです、お父さま。
「ただ、あちらの御両親がよくわからないことを言っておられたが・・・・。
まぁ別に氣にすることはないだろう。」
ふっ。
この「よくわからないこと」が非常に後で大きな問題になるって誰が予想がついたでしょう!
多忙な父はこれで九州に帰ったんですの。
もちろん、知らない場所で一人で外を歩けない母もくっついて。
回らない頭で、考えてみましょうか。
・・・・これはエラいことですわ。
なんだか、とってもやっかいなことになったようですわ。うふ♪
大学はどうするのかしら。生活は?そして結婚費用なんて・・・・。
考えると更に熱が上がりそうだったので、取りあえず寝ましょう。
こうしてようやく熱が下がった私は、早速Qの実家から呼び出されたのですわ。
言ってみると、そこにはQの両親と兄が待ち受けていたんですの。
「ふつつかものですが・・・・。」
三つ指ついて定番の挨拶をする私の頭が上がらないうちに、お母様がおっしゃいました。
「で?フェムトちゃんの実家はうちに何をくれるの?」
・・・・・・・・・・・・は?
結婚準備が始まった その2
「何をくれるの?」とおっしゃいましても。
それは結納金とか、そういうものでしょうか?
何せワタクシはそういう方面の知識が皆無でして、どちらがどちらに相場どのくらいの金額を包むものなのか、全く存じませんの。はい。
くどくどと述べる私を止めて、お母様更に尋ねられます。
「I(Qの兄)も今度結婚するのよ。
Iのお嫁さんの実家はね、うちに冷蔵庫と電子レンジを買ってくれるの。
月々のお小遣いもくれることになってるのよ。」
・・・・???
やっぱり話がよく見えませんが。
Iも横から口を出します。
「ボクのお嫁さんになる人のお父さんはな、車も買ってくれるねん。
まぁそれを聞いたから結婚決めたんやけど。
歳上で貯金が生き甲斐みたいな女だから、マンションの頭金も出そうやし。
で、一方のフェムトちゃんは何してくれるのかってことや。」
・・・・。
「あなたにとって結婚とは?」ってインタビューしてもいいですか?
お母様、追い討ちをかけます。
「アンタとこの実家、Iのお嫁さんの実家より数十倍お金持ちなんやから、
当然それなりのことしてくれるのやろ?」
嫁の実家というものは、嫁ぎ先に家電や月々の生活費を送るものなのですか?
存じませんでしたの。
頭の中が真っ白になりながら帰路についた私に、Qが何でもないことのように言ったのですわ。
「ボクんとこ、ほとんどの生活費が誰かの懐から出てるねんで。
それは今までは主にS姉ちゃんだったけど。」
衝撃的ですわ。
そんな方たちっているものなんですのねぇ!!
(ちなみにS姉ちゃんとは、お母様の姉。伯母さんと呼ばれるのが大嫌いな
お金持ち独身貴族)
それはともかく、娘の高校以降の学費も出さない親に
何を期待してもらっても困るし、また期待される理由もないと思うのですけど・・・・。
そんな理屈は通らないのですわ。
私はこの日、Qの母親に「ママゴン」と命名したんですの。
結婚準備が始まった その3
兄弟二人をアメリカ留学させ、そして大学も普通に出しているQ家。
兄貴Iなんざ、金食い学科と呼ばれる医学部を出たばかり。
まさかその費用が全額他人の懐から出てるなんて、想像もしませんでしょ?普通。
Qは軽く言います。
「生活費や学費だけやないで。ボクらの月々のお小遣いだって、親からもらったことない。父方の親戚が決まった額を毎月渡してくれててん。」
う〜ん・・・・。
Q家の影の薄い父親は、私の目から見て仕事をしてるのかどうかもよくわからない状態。S姉ちゃん(ママゴンの姉)の職場の事務員という肩書きは持ってましたけど。
まぁ・・・・Q家の実情は把握しました。
理解はできそうにないけど、把握しましたわよ。
父の言う「よくわからないこと」とは、このことでしたか。
でも、うちの両親から月々お金をQ家に渡すようにって私に説得させようなんて・・・・。
世の中には努力しても無駄なことというのは、悲しいかな存在するということを、しっかりわかってもらわなくてはね。
それにしても、Q家からは日をおかずに誰かがやって来ますの。
(電話置いてませんでしたからね)
(ついでに携帯電話なるシロモノも普及してなかった時代のお話ですからね)
「で、話はついた?」
いや、そんなことおしゃられましても。
「あんたとこの実家は金持ちやねんからなぁ。」
はぁ。うちの実家は裕福でも、私自身は違いますのよ。
何かと言えば、そのようにプレッシャーをかけてくださいますけど、無理なものは無理なのですわ。
「そうそう。先日Qが私の財布からいくらか抜いて行ったのよ。」
え・・・・?
「ますますお金の問題を、何とかしてもらわなくちゃね。」
お金の問題で揉めてる時に、一体何をしてるんですの!Q!!
結婚準備が始まった その4
Qが不在なので確認しようがないけれど、でもね、きっとママゴンの財布からお金抜いたというのは本当なんでしょう。
私の財布もしょっちゅうやられましたもの。
こういう弱味があると、ちょっと体勢も崩れたりして。
「月々お渡しする分に関しては、うちの親と直接交渉なさって下さい。
私は無理だと思いますが。」
要は相手してるのが面倒なので、親に話を振ってしまったというわけですわ。
理屈が通じない相手は、年の功で対処してもらおうかと・・・・。
ママゴンはおっしゃいます。
「まぁ、あんたは若くて常識ってのを知らないからね。
確かに直接あんたの両親に話をつけた方が早いわ。」
ふふふん。
ここから先の結婚生活の中で、何度このレベルの「常識ってのを知らない」という言葉をぶつけられたことか・・・・。
ごめんなさいね。私の中では自分の生活は自分で面倒見るというのが常識ですのよ。
とにかくこれで、とんでもない要求から私自身は逃れられるかと思って一安心していたら・・・・。
更にママゴンはおっしゃいたいことがあったのですわ。
「あんた、結婚式の費用はどうするの?親が出してくれるの?」
・・・・またうちの親ですか?
「そんなものは、自分の貯金の範囲で簡単に済ませようかと・・・・。」
私はウェディングの仕事が多いモデル業。
安くおしゃれに挙式する情報は、当時そこそこ持っておりましたの。
ドレスも安く借りられますの。
「あぁ・・・・あかんわ。」
え?な、何が「あかんわ」なんですの?
「やっぱり常識がないねぇ、この子は。」
そ、そうなんですか?
「私の息子のQの披露宴なのよ!みみっちいことしてたら話にならんでしょ。」
そ、そんなにお偉い息子さまだったのですか?
ちょっとうんざりモードで聞き流そうとしていましたら、それこそ今までの人生の価値観を覆すような提案をされたんですの。
「あんた、S姉ちゃんに1000万くらいお金借りぃや。」
は、は、は、はいぃぃぃ???
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